ゲノム編集の受託先を検討する際、コストや技術力を理由に海外の受託会社を選択肢に入れるケースもあります。一方で、海外へ委託する場合は、知的財産の取扱いや輸出管理、契約条件など、国内委託とは異なる観点で確認すべき事項があります。本記事では、ゲノム編集を海外へ委託する際に想定される主なリスクと、事前に確認しておきたいポイントを解説します。
※本記事は制度に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、法的な助言ではありません。個別の案件については、所管省庁や専門家にご確認ください。

様々な生物におけるゲノム編集技術の応用を目指した基礎研究をテーマに、特に、新規ゲノム編集技術の基盤開発研究を行っています。ゲノム編集技術の医療応用や植物分野の応用技術開発を進めています。
海外の受託会社は、コスト面での優位性や、特定の技術・生物種における実績を理由に選択されることがあります。特に、国内では対応実績が限られる生物種や、大規模なスクリーニングを伴う案件、高い処理能力や短納期への対応が求められる案件では、海外の受託会社が候補となる場合があります。
一方で、海外委託を検討する際はこうしたメリットだけでなく、リスクと対応の両面を踏まえて委託先を選定することが重要です。
CRISPR/Cas9に関する特許権の成立状況や権利範囲、ライセンス契約の内容は、国・地域によって異なる場合があります。海外の受託会社が現地で必要なライセンスを取得していても、そのライセンスが日本国内での研究開発や商業利用まで対象としているとは限りません。
成果物を日本国内で利用する予定がある場合は、日本で必要となる特許ライセンスや利用条件について、あらかじめ確認しておくことが重要です。
日本から海外の受託会社へゲノム編集に関する技術情報やノウハウを提供したり、研究用の試料・装置を送付したりする場合は、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく安全保障貿易管理の対象となる可能性があります。
規制には、対象となる貨物・技術を定めた「リスト規制」と、非該当でも用途・需要者、仕向地などによって許可が必要となる「キャッチオール規制」があります。該当する場合は、提供や輸出の前に経済産業大臣の許可が必要です。
海外から取得した動植物や微生物などの遺伝資源を利用する場合は、名古屋議定書を踏まえて資源提供国が整備する法令に基づき、事前同意(PIC)や利益配分に関する相互合意条件(MAT)の締結を求められる場合があります。海外の受託会社を通じて遺伝資源を利用する際も、必要な手続きが適切に行われているかを確認することが重要です。
海外で作製されたゲノム編集動植物や細胞、試料などを日本へ輸入する場合は、生物種や輸入形態に応じて、検疫法、家畜伝染病予防法、植物防疫法などに基づく手続きが必要となることがあります。適用される法令や必要な手続きは対象によって異なるため、輸入前に関係法令を確認し、ニーズに応じて所管行政機関へ相談することが重要です。
言語や時差、品質管理体制、評価基準の違いにより、進捗確認や仕様のすり合わせに時間を要することがあります。想定外の結果が生じた際の原因確認や追加実験の調整も、委託先の対応体制によっては円滑に進まない可能性があります。また、試験方法や判定基準が自社の基準と異なる場合は、納品データの品質や解釈についても慎重な確認が必要です。
研究対象となる遺伝子情報や実験データを海外の受託会社へ提供する場合は、機密保持契約(NDA)の内容や執行可能性を十分に確認することが重要です。また、データ保護や営業機密の取り扱いについても、日本法と現地法の違いを踏まえて契約内容・管理体制を確認しておく必要があります。
海外の受託会社にゲノム編集を依頼する際は、コストや技術力だけでなく、国・地域ごとに異なる特許権の成立状況やライセンス条件、輸出管理規制、遺伝資源の利用に関する手続き、作製物の輸入手続き、機密保持などについても確認が必要です。
こうしたリスクを踏まえたうえで、法令対応や契約、品質管理について十分な実績と体制を持つ受託会社を選定することが重要です。

海外の受託会社は技術力やコストの面で魅力的に見えることもありますが、特許ライセンスの範囲や輸出管理規制、遺伝資源の取得手続きなど、確認すべき事項が国内委託より多くなります。契約前にこれらの点を整理し、必要に応じて専門家にも相談することをおすすめします。

2〜3週間
(成否判定)

5ヶ月〜
(動物納品)

4.5ヶ月〜
(株・動物納品)