ゲノム編集技術を用いて作出した生物を取り扱う際は、「カルタヘナ法」との関係を理解しておくことが重要です。ゲノム編集生物は作出方法だけでなく、導入された核酸の有無や最終的な生物の性質などに応じて、カルタヘナ法の規制対象となる場合とならない場合があります。判断を誤った場合、必要な法令上の手続きが行われないおそれもあるため要注意です。
本記事では、カルタヘナ法の基本的な仕組みとゲノム編集との関係、研究・委託時に確認しておきたいポイントについて解説します。
※本記事は制度に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、法的な助言ではありません。個別の案件については、所管省庁や専門家にご確認ください。

様々な生物におけるゲノム編集技術の応用を目指した基礎研究をテーマに、特に、新規ゲノム編集技術の基盤開発研究を行っています。ゲノム編集技術の医療応用や植物分野の応用技術開発を進めています。
カルタヘナ法(正式名称:遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)は、遺伝子組換え生物等の使用等を適切に規制することにより、生物多様性への影響を防止することを目的とした法律です。国際的な協定である「カルタヘナ議定書」を、国内で実施するために制定されました。
環境中への拡散を防止する措置を講じないで使用する「第一種使用等」を行う場合は、事前に第一種使用規程を定め、主務大臣の承認を受ける必要があります。このように、対象となる遺伝子組換え生物等を取り扱う場合には、カルタヘナ法に基づく所定の手続きが求められます。
ゲノム編集技術で作出された生物が、カルタヘナ法上の「遺伝子組換え生物等」に該当するかどうかは、作出方法や細胞外で加工した核酸の残存状況などを踏まえて判断されます。環境省は2019年、以下のような取扱い方針を示しています※。
一般に、SDN-1(人工ヌクレアーゼによる切断と自然修復を利用して変異を導入する手法)では、最終産物に外来核酸が残存しないケースが多く、カルタヘナ法の規制対象外となることがあります。
一方、SDN-2・SDN-3では細胞外で加工した核酸を利用するため、最終産物に外来核酸が残存する場合はカルタヘナ法の規制対象となります。なお、導入した核酸が残存していないことを確認するまでは、遺伝子組換え生物等として扱う必要がある点にも要注意です。
カルタヘナ法上の「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物であっても、拡散防止措置を講じない環境(開放系)で使用する場合には、あらかじめ主務大臣へ情報提供を行うことが求められています。
提供された情報の一部は公表されることとなっており、カルタヘナ法の規制対象外となる生物であっても、一定の透明性を確保する仕組みとなっています。
農作物や水産物など、ゲノム編集技術を応用した生物を食品として利用する場合は、カルタヘナ法とは別に、食品としての安全性に関する制度にも留意する必要があります。外来遺伝子(外来核酸)が最終産物に残存しておらず、従来の育種技術によって得られる変化と同程度と考えられるゲノム編集食品については、厚生労働省が示す届出制度の対象となっています。
届出された情報の一部は行政機関のウェブサイトで公表されるため、食品としての取扱いとあわせて、カルタヘナ法上の位置付けについても確認しておくことが重要です。
ゲノム編集技術によって作出した生物がカルタヘナ法の規制対象となるかどうかは、利用したゲノム編集技術や外来核酸の残存状況などを踏まえて判断され、規制対象外であっても情報提供が求められる場合があります。特に農作物・水産物・家畜などを開放系で利用する予定がある場合は、制度への理解と規制対応の実績を持つ受託会社を選ぶことが重要です。

カルタヘナ法の取扱いは、外来核酸が最終的に残存しているかどうかがポイントになります。私自身、環境省の検討会でこの整理に関わった経験がありますが、判断には専門的な知見が必要な場面も多くあります。特に開放系での利用を検討している場合は、規制対応の実績がある受託会社に早めに相談することをおすすめします。

2〜3週間
(成否判定)

5ヶ月〜
(動物納品)

4.5ヶ月〜
(株・動物納品)