倫理審査の委託先と手順

目次

ゲノム編集を用いた研究では、研究内容や対象に応じて、倫理審査や各種委員会での審査・承認が必要となる場合があります。受託会社へゲノム編集を委託する場合も、研究機関側で必要な審査や承認を受けたうえで実施するケースが多くなっています。本記事では、ゲノム編集研究で審査が必要となる主なケースと、受託会社へ委託する際の一般的な手順について解説します。

※本記事は制度に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、法的な助言ではありません。個別の研究計画については、所属機関の倫理審査委員会や専門家にご確認ください。

刑部 祐里子Yuriko Osakabe
刑部 祐里子教授のプロフィール
  • 東京科学大学 生命理工学院 教授
  • 生命理工学系 生命理工学コース
  • 所属学会:日本分子生物学会、日本農芸化学会、日本ゲノム編集学会、日本植物生理学会、日本植物学会、日本植物バイオテクノロジー学会
                   

様々な生物におけるゲノム編集技術の応用を目指した基礎研究をテーマに、特に、新規ゲノム編集技術の基盤開発研究を行っています。ゲノム編集技術の医療応用や植物分野の応用技術開発を進めています。

ゲノム編集研究で
倫理審査が必要になる
主なケース

動物を用いる研究

マウスなどの実験動物を用いる場合、動物福祉の観点から、多くの研究機関で機関内の動物実験委員会による審査・承認を受けて実施することが求められます。

ヒト由来の細胞・試料を用いる
研究

ヒトiPS細胞や患者由来の組織・血液などを用いる場合、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づく倫理審査が必要になる場合があります。

ヒトゲノム・遺伝情報を
取り扱う研究

ヒトのゲノムや遺伝情報を取り扱う研究では、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」などに基づき、研究内容に応じた審査や手続きが必要となる場合があります。

ヒト受精胚を対象とする研究

ヒト受精胚を用いたゲノム編集は、関係法令や指針等により厳格な規制の対象です。研究内容に応じて、所定の審査や必要な手続きを経たうえで実施することが求められます。

ポイント

なお、iPS細胞自体は遺伝子組換え生物には該当しませんが、ウイルスベクターなどを用いて遺伝子を導入する実験を行う場合は、遺伝子組換え実験等として、拡散防止措置(P1・P2など)を含む必要な手続きが求められることがあります。

また、倫理審査や各種委員会での審査・承認の要否は、研究内容や適用される法令・指針、所属機関の規程によって異なるため、研究開始前に必要な手続きを確認しておくことが重要です。

倫理審査の主な委託先

倫理審査は、多くの場合、研究者が所属する大学・研究機関・企業内に設置された倫理審査委員会や動物実験委員会が実施します。自組織に倫理審査委員会が設置されていない場合は、以下のような選択肢があります。

  • 外部の倫理審査委員会(第三者機関):自組織に審査委員会を持たない企業・研究機関向けに、審査を受託する第三者機関が存在します。
  • 共同研究機関の倫理審査委員会:大学などと共同研究を行う場合、共同研究先の倫理審査委員会で審査を受けることもあります。

ゲノム編集受託会社は、通常、依頼者に代わって倫理審査を行う立場ではありません。必要な審査・承認が依頼者側で完了していることを前提として、サービスを提供している場合が多い点に留意してください。

倫理審査の一般的な手順

  1. 研究計画書の作成:研究目的、使用する生物・試料、実施方法、想定されるリスクなどを整理し、必要な申請書類を作成する。
  2. 審査・承認の申請:所属機関や共同研究機関の委員会、必要に応じて外部倫理審査委員会へ申請書類を提出する。
  3. 審査・質疑応答:委員会からの質問・修正依頼に対応する。
  4. 承認後に研究を開始:承認を受けたのち、承認された研究計画に基づいてゲノム編集研究や受託業務を進める。
  5. 研究実施後の報告・変更申請:研究の進捗報告や計画変更、継続審査などが必要となる場合は、所属機関の規程に従って手続きを行う。

審査や承認には一定の期間を要するため、ゲノム編集受託会社への依頼スケジュールも考慮しながら、早めに準備を進めることが望まれます。

ゲノム編集受託会社に
依頼する際の注意点

  • 依頼前に必要な審査・承認を完了しておく:ヒト由来試料や細胞を扱う案件では、多くの受託会社が、依頼者側で必要な倫理審査や承認を受けていることを前提として受託を行っています。
  • 審査書類の準備:受託会社との契約・打ち合わせの際に、倫理審査の承認番号や関連書類の提示を求められることがあります。
  • 動物実験に関する体制を確認する:動物を用いる案件では、依頼者側の動物実験委員会の承認に加え、受託会社側の動物実験実施体制や飼育管理体制についても確認しておくと安心です。
まとめ

ゲノム編集研究では、研究内容や対象に応じて、倫理審査や各種委員会での審査・承認が必要となる場合があります。受託会社への委託を円滑に進めるためには、所属機関で必要な審査や承認を早めに進めるとともに、承認書類などの必要書類をあらかじめ整理しておくことが重要です。

監修者からのコメント

刑部 祐里子Yuriko Osakabe
刑部 祐里子教授のプロフィール
  • 東京科学大学 生命理工学院 教授
  • 生命理工学系 生命理工学コース
  • 所属学会:日本分子生物学会、日本農芸化学会、日本ゲノム編集学会、日本植物生理学会、日本植物学会、日本植物バイオテクノロジー学会

ゲノム編集研究では、動物を用いる場合もヒト由来の試料を用いる場合も、倫理審査が研究の入口になります。受託会社への依頼を検討する段階で、自身の研究機関での審査手続きも並行して進めておくと、スケジュール全体がスムーズになると思います。

     
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GenAhead Bio

GenAhead Bio公式HP
引用元:GenAhead Bio公式HP
(https://jp.genaheadbio.co.jp/)
  • ノックイン・レポーター細胞・マルチプルKOなど、一般的なプロトコールから既存プロトコールでは再現できない複雑なゲノム編集まで対応。受託実績は190件超(※)で、他社に断られた案件の引き継ぎにも応じる。
  • プール細胞の段階で編集成否を早期に確認できる独自のCRISPR-SNIPER法を採用。研究スケジュールが逼迫している場面でも、2~3週間でGo/No Goの判定を出し、後工程の遅延・手戻りを防ぐ
納期の目安

2〜3週間

(成否判定)

主な対象生物・細胞種
  • iPS細胞
  • 細胞株
  • 初代培養細胞

マウス・ラット等の
ゲノム編集動物モデルを
作製したい

セツロテック

セツロテック公式HP
引用元:セツロテック公式HP
(https://www.setsurotech.com/)
  • KOマウス・Floxマウスといった幅広い種類の遺伝子改変動物モデルを受託。マウス受精卵へのインジェクション技術を保有し、動物モデル作製を専門外とする研究者でも、必要な仕様を伝えるだけで依頼できる。
  • CRISPR/Cas9での編集が難しいケースに対しても、独自技術「ST8」による代替アプローチが可能。一度の問い合わせで複数の手法を提案してもらえるため、動物モデル作製の選択肢が広がる。
納期の目安

5ヶ月〜

(動物納品)

主な対象生物・細胞種
  • マウス
  • ラット
  • 培養細胞
  • 畜産動物
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ゲノム編集から
オフターゲット解析等まで

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タカラバイオ公式HP
引用元:タカラバイオ公式HP
(https://www.takara-bio.co.jp/ja/index.html)
  • sgRNA設計・細胞株作製・オフターゲット解析・各種アッセイ(FCM・WB・PCR)まで、複数業者への発注・調整なしに同一窓口で完結。論文提出・社内審査に必要なデータを一貫した品質で揃えられる。
  • 自社開発のCRISPR試薬「Guide-itシリーズ」を販売。その試薬を使って上手くいかなかった場合も、別の受託先を探すことなく、そのまま依頼できる。試薬の仕様を知り尽くしたチームが対応するため、条件設定のやり直しも発生しない。
納期の目安

4.5ヶ月〜

(株・動物納品)

主な対象生物・細胞種
  • iPS細胞
  • 細胞株
  • 初代培養細胞
  • マウス
  • ラット
※参照元:GenAhead Bio公式HP(https://jp.genaheadbio.co.jp/genome-editing/)
情報は2026年8月時点